飲食業

愛知・名古屋で飲食業を営まれている方へ
虎ノ門法律経済事務所名古屋支店が飲食業の労務問題を解決

深刻な残業代問題

今の時代は飲食店も労務コンプライアンスを無視しては生き残ることはできなくなりました。「働き方改革」の名のもと、労働生産性やワークライフバランスの大切さが謳われ、法令を順守しない企業には「ブラック企業」のレッテルが貼られます。退職した社員が未払い残業代の支払いを求めて会社を訴える事案は急増しており、「辞めたら訴える」ことが当たり前に行われるようになりました。飲食業はもともと労働時間が長いことも多いため、一人の社員からの残業代請求でも400万円、500万円の請求に上ることも少なくありません。残業代請求は、まさに会社の経営を脅かす大きなリスクなのです。

固定残業代制度が否定されるリスク

飲食店の中には、初任給から高額な給料を提示するところもあるように思います。たとえば、一般的に大卒初任給が20万円程度の企業が多い中で、飲食店では25万円などが提示されたりします。あるいは、店長候補募集の広告では30万円~などの案内を見かけたりします。しかしながら、一見高額なその給料も、実は基本給ではなく、残業代を含んだ金額として会社側は考えていることがほとんどです。つまり、そうした高額な給与を提示する飲食店の多くは、固定残業代制度(定額残業代制度)を取り入れていると思われます。

 

固定残業代制度とは、あらかじめ定められた一定の金額により時間外労働、休日及び深夜労働に対する各割増賃金を支払う残業代支払制度です。たとえば、月給30万円の賃金とした場合に、その内訳を基本給20万円、超過勤務手当10万円と設定するもので、残業代込で総額を把握するものです。慢性的な時間外労働が発生する業種であって毎月の支払賃金が安定するメリットなどがありますが、この固定残業代制度も経営者の自由にできるものではなく、制度が有効となるためには次の要件を満たす必要があります。

 

・明確区分性
割増賃金に代わる当該手当と基本給部分が明確に区分されていること

・賃金規定
当該手当が何時間分の割増賃金に該当するのかを就業規則(賃金規定)、労働契約等で明示

・実際の運用
実際の残業代との差額の精算、毎月の労働時間数と定額残業代の時間数の表示

 

これらの要件を満たさない場合、その固定残業代制度は無効と判断される可能性が高いといえるでしょう。そして、固定残業代制度が否定された場合には、次の3つの大きなリスクを負うことになります。

 

①残業代を1時間分も支払っていないことになる
②1時間あたりの基礎単価が跳ね上がる
③付加金の制裁を受ける

 

一言でいえば、高額な残業代支払い義務が生じるリスクを負うということであり、経営を脅かす事態になりかねません。

 

かつては企業にとってメリットがあると思われていた固定残業代制度ですが、その安易な利用はかえって企業を苦しめることになりかねません。もし固定残業代制度を導入するのであれば、上記要件を満たす適正な制度設計と運用を行うことが必至といえます。

 

店長に残業代を支払っていない場合は要注意

「監督若しくは管理の地位にある者」(管理監督者)には、労基法の労働時間・休憩・休日の規制が適用されません(労基法41条2号)。そのため、飲食店では、店長が管理監督者に当たるとして、店長を無制限な長時間労働に従事させたり、店長に残業代を支払わないということが広く行われていたように思われます。

しかしながら、この「店長と管理監督者」の問題を一躍有名にしたいわゆる日本マクドナルド事件(東京地判平成20年1月28日)では、アルバイト従業員(クルー)の採用、時給額、勤務シフト等の決定を含む労務管理や店舗管理を行い、自己の勤務スケジュールも決定している店長も、営業時間、商品の種類と価格、仕入先などについて本社の方針に従わなければならず、企業全体の経営方針へも関与していないとして、「管理監督者」とは認められないと判断されました。
したがって、ファーストフード店やファミリーレストラン、カラオケ店や居酒屋などの多くの飲食店の店長について、管理監督者性が認められることは非常にハードルが高いといえ、店長を現に管理監督者として扱い残業代を支払っていない企業は要注意です。

 

愛知・名古屋で飲食業を営む企業がとるべき対応策

1 賃金制度の現状把握

まずは現在の社内規定類を確認して分析することが必要です。そもそも就業規則を整備していなかったり、整備していたとしても自社の実態に合わないネットから拾ったものを適当に使っている企業も多いのが実情です。各種手当の内容や趣旨、正社員とそれ以外の社員との区分など確認すべき事項は多岐にわたります。

 

2 労働時間の実態を把握する

従業員の労働時間の実態を確認します。飲食業は長時間労働が常ともいえる業種ですが、その就業実態を把握していない経営者の方も多いのが実情です。

 

3 適正な労働時間管理の実施

労働時間の管理を適切に行える体制を整えなければ、固定残業代制度を有効に導入することはできません。また、時間外割増賃金等にどの程度の資金を見込むべきかなどが分からないため、適正な労働時間管理を実施することは賃金制度の設計に不可欠な前提条件といえます。

 

4 財務会計・管理会計の分析

賃金はいくらまでの支払が可能なのか、そもそも今の賃金水準は妥当なのかを検討します。また、財務改善につながる賃金体系を構築するためにも、各種コストの内容と問題点を抽出し、たとえばコスト意識を高める仕組みを賃金制度の中に取り入れることなどを検討します。

 

5 営業時間の見直し

従業員の採用面や営業コストとのバランスを考慮して、現在の営業時間を短縮したり、スライドさせることなども場合によっては検討します。

 

6 賃金制度の設計

以上を踏まえて、自社に合う賃金制度の構築を目指します。設計の進め方は次のとおりです。
①財務分析から支払賃金の適正額を検討
②地域別最低賃金等から所定内賃金の水準と構成を検討
③労働時間の実態から、割増賃金必要支払額を検討
④店舗運営からみたインセンティブを検討
⑤諸手当の内容、趣旨、支給基準を検討
⑥賃金シュミレーションの実施
⑦従業員への説明会又は個別説明
⑧就業規則、賃金規定等の改定

 

虎ノ門法律経済事務所名古屋支店による労務サポート

中小企業が自身だけで難解な労働法制を理解し、具体的な労働問題に対応し、あるいは賃金制度改革を実行していくことは簡単なことではありません。また、誤った理解に基づいて対応した結果、より大きなリスクを抱えてしまったという恐ろしいことも頻繁に起こっています。
そこで、虎ノ門法律経済事務所名古屋支店では、愛知・名古屋で飲食業を営む企業の皆様へ次のような労務支援サービスを提供しています。

 

(1)就業規則、賃金規定等のリーガルチェック

虎ノ門法律経済事務所名古屋支店では、就業規則や賃金規定などの各種社内規定について、リスクの有無や見直すべき事項をチェックし、これに対応する具体的なご助言をさせていただいております。これまで漠然と使用してきた就業規則等に対し正しい理解とリスクを把握することで、賃金規定の修正に向けた正しい1歩を踏み出すことが可能となります。

 

私弁護士古山雅則は、経営者側に立った経営労務に特化し、現在扱う業務のほとんどが労働法分野を中心とした企業に対する法律顧問業務で占められています。就業規則の整備をはじめとした予防法務についても労働問題に強い弁護士がお力になります。

 

現在の就業規則の内容や労務管理への不安をお持ちの企業様は、虎ノ門法律経済事務所名古屋支店までご相談ください。

 

(2)賃金制度改革のコンサルティング支援

虎ノ門法律経済事務所名古屋支店では、法務・財務の両面から飲食業企業の賃金制度設計のためのコンサルティングサービスを提供しています。上記で説明した各ステップを踏んだ適切な賃金制度の設計を助言・支援し、就業規則の整備や従業員への説明までトータルでサポートいたします。

 

(3)未払い賃金、残業代請求の事前予防

未払い残業代請求の問題は、ときに数百万円から1000万円にも及ぶ大きな支払いをともなうリスクとなります。しかも、現行の制度を見直さない限り、何度も繰り返し起きる可能性を秘めています。

 

そのため、未払い残業代が発生しやすい制度となっているのであれば、これを見直し整備し直すことが将来のリスク予防のためには不可欠です。虎ノ門法律経済事務所名古屋支店では、固定残業代制度をはじめとした残業代問題に対し豊富な経験、ノウハウがありますので、事件対応から予防法務まで適切なアドバイス、対応を行うことが可能です。

 

残業代請求問題等にご不安な企業様やお困りの企業様は、虎ノ門法律経済事務所名古屋支店までご相談ください。


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