IT業
愛知・名古屋のIT企業経営者の方へ
虎ノ門法律経済事務所名古屋支店がIT企業の労務問題を解決
長時間労働と労災リスク
IT業界では、一般的に年間総労働時間が他業種に比して長い傾向にあり、長時間労働の是正が長年の課題になっています。複数のITエンジニアがチームを組んでプロジェクトを行うこと場合にはその進捗管理や品質管理が難しいことや、仕様の変更が度々生じて工程に影響が生じるなど様々な要因があると思います。しかしながら、そうした業界特有の事情を理由に長時間労働の実態を放置することは、優秀な社員の確保が困難になるだけでなく、メンタルヘルスの問題を発生させる可能性が高まります。長時間労働によってメンタル不全を生じさせることは、従業員にとって不幸であるだけでなく、企業にとっても大きな損失となります。長時間労働が原因で脳・心臓疾患を発症したり、うつ病等の精神障害を罹患して自殺した場合など、それが業務上の事由によるものである場合は労災にあたる可能性が高く企業も法的責任を免れません。
また、長時間労働に加え、その勤怠管理を適切に行っていなかった場合には、多額の残業代請求を受ける可能性も高くなります。退職した社員が未払い残業代の支払いを求めて会社を訴える事案は急増しており、「辞めたら訴える」ことが当たり前に行われる時代です。一人の社員からの残業代請求でも400万円、500万円の請求に上ることも少なくなく、残業代請求は、まさに会社の経営を脅かす大きなリスクなのです。
労働生産性の向上にはフレックスタイム制の導入を
フレックスタイム制とは、従業員が、1か月などの単位期間のなかで一定時間数労働することを条件として、1日の労働時間を自己の選択する時に開始し、かつ終了できる制度です。一言でいえば、本人の自由裁量によって1日の出退勤時刻を決めることができる制度です。
この制度を導入することによって、システム設計やプログラム作成など、1日や1週の労働時間の拘束を受けながら仕事をするよりも、本人の裁量に任せて業務効率が上がるように働いてもらうことが可能になります。
フレックスタイム制導入の要件
ポイント
①就業規則に制度内容を定める
②一定の事項を定めた労使協定を締結する
フレックスタイム制を導入するためには、労使協定において、①制度適用対象者の範囲、②1か月以内の単位期間、③単位期間での総労働時間、④標準となる1日の労働時間の長さを定める必要があります。また、全員が必ず勤務すべきコアタイムや、出退勤のなされるべき時間としてのフレキシブルタイムを設ける場合には、その定めをすることになります。
フレックスタイム制の注意点
①出勤時間の指定や残業命令はできない
②清算期間における法定労働時間の枠を超えた労働には残業代が発生する
フレックスタイム制は、従業員が始業・終業時刻を自らの意思で決定できることに眼目がありますので、この制度を採用した場合には、その従業員に対して、ある時刻までに出勤することや、残業を命じることはできません。打ち合わせや会議などはコアタイムの中で設定するか、必要な場合は従業員の同意のもとに行うことが必要になります。
また、フレックスタイム制のもとでは、1週および1日については法定労働時間をこえても時間外労働にはなりませんが、単位期間たる清算期間における労働時間の合計が、清算期間における法定労働時間の枠をこえた場合には、そのこえた時間について割増賃金の支払と三六協定の締結が必要となります。
固定残業代制度などその他のメニューも
労働時間や残業代の削減に効果がある制度はフレックスタイム制だけではありません。その他に固定残業代制度や裁量労働制など様々な方法があります。
固定残業代制度は、あらかじめ定められた一定の金額により時間外労働、休日及び深夜労働に対する各割増賃金を支払うという残業代支払制度で、慢性的な時間外労働が発生する業種であって毎月の支払賃金が安定するなどのメリットがあります。
IT企業といっても様々ですので、各企業にあった制度の導入をご検討ください。
愛知・名古屋でIT事業を営む企業がとるべき対応策
1 賃金制度の現状把握
まずは現在の社内規定類を確認して分析することが必要です。そもそも就業規則を整備していなかったり、整備していたとしても自社の実態に合わないネットから拾ったものを適当に使っている企業も多いのが実情です。各種手当の内容や趣旨、正社員とそれ以外の社員との区分など確認すべき事項は多岐にわたります。
2 労働時間の実態を把握する
従業員の労働時間の実態を確認します。ITエンジニア等は長時間労働が常ともいえる職種ですが、その就業実態を把握していない経営者の方も多いのが実情です。
3 適正な労働時間管理の実施
労働時間の管理を適切に行える体制を整えなければ、フレックスタイム制などの各種制度を有効に導入することはできません。適正な労働時間管理を実施することは賃金制度の設計に不可欠な前提条件といえます。
4 財務会計・管理会計の分析
賃金はいくらまでの支払が可能なのか、そもそも今の賃金水準は妥当なのかを検討します。また、財務改善につながる賃金体系を構築するためにも、各種コストの内容と問題点を抽出し、たとえばコスト意識を高める仕組みを賃金制度の中に取り入れることなどを検討します。
5 賃金制度の設計
以上を踏まえて、自社に合う賃金制度の構築を目指します。設計の進め方は次のとおりです。
①財務分析から支払賃金の適正額を検討
②地域別最低賃金等から所定内賃金の水準と構成を検討
③労働時間の実態から、割増賃金必要支払額を検討
④職務内容からみたインセンティブを検討
⑤諸手当の内容、趣旨、支給基準を検討
⑥賃金シュミレーションの実施
⑦従業員への説明会又は個別説明
⑧就業規則、賃金規定等の改定
虎ノ門法律経済事務所名古屋支店による労務サポート
中小企業が自身だけで難解な労働法制を理解して具体的な労働問題に対応し、あるいは賃金制度改革を実行していくことは簡単なことではありません。また、誤った理解に基づいて対応した結果、より大きなリスクを抱えてしまったという恐ろしいことも頻繁に起こっています。
そこで、虎ノ門法律経済事務所名古屋支店では、愛知・名古屋でIT事業を営む企業の皆様へ次のような労務支援サービスを提供しています。
(1)就業規則、賃金規定等のリーガルチェック
虎ノ門法律経済事務所名古屋支店では、就業規則や賃金規定などの各種社内規定について、リスクの有無や見直すべき事項をチェックし、これに対応する具体的なご助言をさせていただいております。これまで漠然と使用してきた就業規則等に対し正しい理解とリスクを把握することで、賃金規定の修正に向けた正しい1歩を踏み出すことが可能となります。
弁護士古山雅則は、経営者側に立った経営労務に特化し、その業務は労働法分野を中心とした企業に対する法律顧問業務で占められています。就業規則の整備をはじめとした予防法務についても労働問題に強い弁護士がお力になります。
現在の就業規則の内容や労務管理への不安をお持ちの企業様は、虎ノ門法律経済事務所名古屋支店までご相談ください。
(2)賃金制度改革のコンサルティング支援
虎ノ門法律経済事務所名古屋支店では、法務・財務の両面からIT事業の企業向け賃金制度設計のためのコンサルティングサービスを提供しています。上記で説明した各ステップを踏んだ適切な賃金制度の設計を助言・支援し、就業規則の整備や従業員への説明までトータルでサポートいたします。
(3)メンタルヘルス問題、残業代請求の事前予防
従業員にメンタルヘルス問題が生じた際には、休職、復職、退職の各過程と判断には困難が伴い、対応を誤ると未払賃金や損害賠償などの支払リスクが生じます。また、未払い残業代請求の問題は、ときに数百万円から1000万円にも及ぶ大きな支払リスクとなります。しかも、現行の制度を見直さない限り、何度も繰り返し起きる可能性を秘めています。
そのため、メンタルヘルスの問題が現に生じているのであれば適切な対応を行う必要があり、また未払い残業代が発生しやすい制度となっているのであれば、これを見直し整備し直すことが将来のリスク予防のためには不可欠です。虎ノ門法律経済事務所名古屋支店では、メンタルヘルス問題や残業代問題に対し豊富な経験、ノウハウがありますので、事件対応から予防法務まで適切なアドバイス、対応を行うことが可能です。
従業員のメンタルヘルス問題、残業代請求問題等にご不安な企業様やお困りの企業様は、虎ノ門法律経済事務所名古屋支店までご相談ください。
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