協調性を欠く社員の退職を実現させた事例

労働審判問題社員対応解雇・退職勧奨
相談企業のエリア 中京圏(愛知県・岐阜県・三重県)
相談企業の業種 医療
相談企業の従業員規模 10名程度
相談のジャンル 問題社員対応、解雇、労働審判
争点 解雇の有効性

 

相談前の状況

Aクリニックの看護師Bは、常時不機嫌で大きな物音を立てながら仕事をするため、他の看護師や事務スタッフは常に緊張を強いられながら業務に従事せざるを得ませんでした。態度も高圧的で嫌味を面と向かって述べるため、他の看護師らは徐々にストレスを増大させ、ついにはうつ症状などが出始めるに至り、中には退職を申し出る職員が出るまでになりました。状況を把握した院長は、看護師らの多くが休職ないし退職してしまえばクリニックの運営に重大な支障を生じるものと考え、看護師Bを直ちに解雇しました。

そうしたところ、看護師Bが、弁護士を代理人に立て、解雇は客観的に合理的理由を欠き、社会通念上の相当性が認められないとして無効を主張してきたため、Aクリニックはその対応を当事務所に依頼されました。

相談後の提案内容・解決方法

解雇は、①客観的に合理的な理由を欠く場合、②解雇という措置を取ることが社会通念上の相当性を欠く場合、権利の濫用として無効となります(労働契約法16条)。解雇が無効となった場合、解雇された労働者は労働契約関係が存続しているものと扱われますので、解雇期間中の賃金請求権も存続することになります。つまり、使用者は、解雇と扱っていた期間中についても、賃金の支払義務を負うことになります。

このように、解雇が無効とされた場合に使用者は大きな経済的リスクを負うことになります。そして、本件では、弁護士のレクチャーを受けることなく、「問題の把握→即解雇」の措置に至っていたこともあり、司法判断に耐えられる見込みは決して高くありませんでした。このため、本件については、速やかに権利関係を確定させることが望ましいと考え、速やかに使用者側であるAクリニックから労働審判を申立てる方針としました。

労働審判では、3回以内での集中審理がなされるため、迅速な解決に適う手続きとなっています。また、労働審判員の関与のもと、法律論だけでない柔軟な解決が図られることも期待できます。

本件では、若干の解決金の支払いを条件として看護師Bの退職合意を得ることができ、依頼者が希望する条件にて解決を実現することができました。

担当弁護士からの所感

解雇については、「客観的に合理的な理由」が認められなければ、当該解雇は解雇権を濫用したものとして無効となります(労働契約法16条)。このことは、問題行動を客観的事実として立証できることが求められることを意味します。使用者の目から見て、問題社員とされる者の行動や態度が職場の規律に違反していることや、適格性に欠くと判断するだけでは足りないということになります。

このため、本件では「合理的な理由」を客観的に説明できるための材料が不足しており、訴訟となれば厳しい争いとなることが見込まれましたが、弁護士による適切な状況判断と方針決定により、無事に穏当な解決結果を得ることができました。

 

使用者・経営者としては、急な対応と判断を迫られることになりますので、日ごろから顧問弁護士等の専門家への相談体制を整えておくことが望ましいといえるでしょう。弁護士が適切に内容を把握したうえで迅速に支援等を行えば、使用者としても紛争化させる前に納得のできる結果を得られる可能性は高まるのではないかと思います。