穏便に採用内定取消しを実現した事例

相談企業のエリア | 愛知県名古屋市 |
相談企業の業種 | フィットネスクラブ |
相談企業の従業員規模 | 40名程度 |
相談のジャンル | 問題社員対応 |
争点 | 採用内定の取消し |
相談前の状況
フィットネスクラブを営むA社は、新卒採用で採用内定を出したB氏について、正式に入社するまでの間、アルバイトとして月に数日程度出社してもらい、業務に触れてもらうこととしていました。こうして、B氏は月に数日、各日数時間程度をアルバイトとして業務に従事していましたが、B氏のマナーや態度が悪く、複数の社員からB氏を問題視する声が出てきました。
このため、A社は、入社後の人間関係のトラブルや顧客からクレームなどが起こることを心配し、B氏の内定を取り消したいとして、当事務所にその対応を相談されました。
相談後の提案内容・解決方法
一刀両断に内定取消しを通知することは紛争化を招きますので適切ではありません。
B氏との直接の面談の機会を設け、B氏の改善点を指摘、指導したうえで入社辞退を促すなど、丁寧かつ慎重な対応が必要となります。このように、方針と手続き、提案すべき内容や方法等を説明、支援させていただき、無事、穏当に内定取消しの合意を得ることができました。
担当弁護士からの所感
採用内定の時点で、労働契約は成立するのが通例です。内定は単なる契約の予約に過ぎないからいつでも自由に取消せる、と考えている方もいらっしゃいますが、そのような考えは非常に危険です。既に労働契約は成立している以上、その取消しは解雇と同様の性質を有しており、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」(労働契約法16条)と規定される解雇権濫用法理に準じた制約を受けます。つまり、内定取消は、客観的に合理的で社会通念上相当として是認できる事由がある場合にはじめて適法に行えるのです。
このため、内定を取消さざるを得ない場合であっても、直ちに解約権を行使するのではなく、できる限り協議によって内定者の理解を得、内定を辞退あるいは合意によって取り消してもらえるよう円満解決を目指すべきといえます。本件では、事前にご相談をいただいたことで、円満解決に向けたプロセスを踏むことができ、無事、合意による労働契約の解約を実現することができました。
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岐阜県出身。中央大学法科大学院卒業。経営者側に立った経営労務に特化し、現在扱う業務のほとんどが労働法分野を中心とした企業に対する法律顧問業務で占められている。分野を経営労務と中小企業法務に絞り、業務を集中特化することで培われたノウハウ・経験知に基づく法務の力で多くの企業の皆様の成長・発展に寄与する。