退職勧奨が不当だとしてあっせんの申立てがされた事例
相談企業のエリア | 愛知県名古屋市 |
相談企業の業種 | フィットネスクラブ |
相談企業の従業員規模 | 40名程度 |
相談のジャンル | 退職勧奨、あっせん手続き |
争点 | 退職勧奨の適法性 |
相談前の状況
フィットネスクラブを営むA社は、事業環境に伴う人員整理のため、勤続年数や勤務成績等による基準を設けたうえで、複数の従業員に対して退職勧奨を行いました。ほとんどの従業員は退職勧奨に応じて退職することになりましたが、従業員Bだけは、自分が退職勧奨者リストに入れられたことに納得できないとして、愛知県労働委員会にあっせんの申立てを行いました。
このため、A社は当該あっせんへの対応を当事務所に相談されました。
相談後の提案内容・解決方法
あっせん制度による紛争解決の機会をうまく利用することは企業にとっても利点があります。このため、申立てられたあっせん手続きに積極的に参加することといたしました。
あっせん手続きの中で、A社の置かれた事業環境と人員整理の必要性、そして選考過程の公平性・妥当性を資料に基づき説明し、A社側の立場をあっせん員に理解いただくようにいたしました。
その結果、従業員Bは争うことをあきらめ、無事退職することを決められました。
担当弁護士からの所感
労働委員会によるあっせん制度の利用はあまり活発なものではありませんが、活用次第では労使紛争を解決する有効な手段となります。このため、あっせんへの参加は任意であって義務ではないものの、事案によっては積極的に参加し、申立てられたあっせん手続きを紛争解決の場に利用することが考えられます。
本件でも、早期に穏便な解決を図る手段として、申立てられたあっせんに参加することとし、あっせんの場で企業側の立場を理解いただくようにいたしました。
退職勧奨はあくまで退職に向けた働きかけに過ぎませんので、そもそもそれに応じるか否かは労働者の自由な意思のもとに決めることができるものです。従業員Bは、自身が退職勧奨者リストに入れられたこと自体に納得できないとの主張のもとあっせんの申立てをされてきましたが、退職勧奨の話し合いの続きを公的機関の関与のもと進められるという点において、本件ではあっせん手続きをうまく活用できたものと思います。
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岐阜県出身。中央大学法科大学院卒業。経営者側に立った経営労務に特化し、現在扱う業務のほとんどが労働法分野を中心とした企業に対する法律顧問業務で占められている。分野を経営労務と中小企業法務に絞り、業務を集中特化することで培われたノウハウ・経験知に基づく法務の力で多くの企業の皆様の成長・発展に寄与する。