賃金制度の改定が不利益変更で無効であると主張された事例

相談企業のエリア | 三重県 |
相談企業の業種 | 運送業 |
相談企業の従業員規模 | 30名程度 |
相談のジャンル | 問題社員対応、団体交渉 |
争点 | 就業規則による労働契約の変更 |
相談前の状況
運送業を営むA社は、未払残業代が発生することを抑止するため、賃金制度を改定することにしました。職場説明会などを開催し、慎重に段階を踏んで賃金制度を改定しましたが、これに不満を抱いた一部の従業員が労働組合を組織し、賃金規定の変更は無効であるとして団体交渉を要求してきました。このため、A社は、当事務所にその対応を相談されることになりました。
相談後の提案内容・解決方法
当事務所弁護士が労働組合との交渉窓口となり、弁護士が全面的に労働組合との対応を担いました。団体交渉では、賃金制度の変更には合理的な理由が認められることや、全体として不利益変更にも当たらないことなどを弁護士から丁寧に説明しました。このように弁護士が団体交渉の対応に当たることで、企業は労働組合からの大きなプレッシャーから解放されることができます。
何回か団体交渉を重ねたところ、組合は団体交渉による解決を断念し、続いて弁護士を代理人に立てて同様の要求をしてきました。これに対しても引き続き当事務所が交渉にあたったところ、結局組合員らは要求をあきらめ、組合活動も下火となりました。
担当弁護士からの所感
労働組合からの団体交渉の申入れに対しては、企業は誠実に対応すべきといえます。もっとも、交渉自体は誠実に対応するとしても、合理的な理由がある場合には、組合からの要求を受け入れる必要は全くありません。
本件では、賃金制度改定の必要性が認められ、賃金総額で考えた場合には不利益の程度も僅少といえるものでしたので、賃金規定(就業規則)変更の合理性(労働契約法10条)は肯定されるものと判断しました。このため、団体交渉は誠実に対応しましたが、要求を受け入れる理由はないものと考え、組合側の意見は傾聴しつつも要求は拒否する姿勢を貫きました。
労働組合は多人数の集合をもって強い圧力を企業にかけてくるものですが、弁護士が適切に対応することによって企業はこうしたストレスから解放され、また望ましい結果を得ることができるのではないでしょうか。
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岐阜県出身。中央大学法科大学院卒業。経営者側に立った経営労務に特化し、現在扱う業務のほとんどが労働法分野を中心とした企業に対する法律顧問業務で占められている。分野を経営労務と中小企業法務に絞り、業務を集中特化することで培われたノウハウ・経験知に基づく法務の力で多くの企業の皆様の成長・発展に寄与する。