解雇が無効であるとして提訴された事例
相談企業のエリア | 愛知県東部(名古屋市外) |
相談企業の業種 | 運送業 |
相談企業の従業員規模 | 20名程度 |
相談のジャンル | 問題社員対応 |
争点 | 解雇の有無、解雇の有効性 |
相談前の状況
運送業を営むA社のB氏は、素行に問題があり、定められた運行スケジュールを守らないことや、配送先の従業員とのトラブルを起こすなどの問題行動が目立っていました。ある日A社は顧客からB氏の乗り入れを禁止され、B氏運転のトラックが現場に乗り入れた場合には契約を解除する旨の通告を受けました。このため、A社の役員CがB氏に対し、「君にしてもらう仕事は当分ない。明日から会社に来なくても良い」などと伝え、B氏は翌日から会社に来なくなりました。
そうしたところ、B氏は突然解雇されたとして解雇の無効を主張し、A社に対し訴訟を提起しました。提訴されたことに驚いたA社は、当事務所に訴訟対応について相談されました。
相談後の提案内容・解決方法
A社の役員CがB氏に発した言葉が解雇に当たるか否かという点から争いました。
その上で、仮にそれが解雇の意思表示に当たるとしても、B氏の非違行為とそれを理由とした配置可能な職務が存在しないことなどを主張し、解雇の有効性を争いました。
その結果、B氏の退職を含む会社に非常に有利な内容で和解することができました。
担当弁護士からの所感
本件は書面による明確な解雇通知はなく、社長自身が伝えた言葉ではなく役員の一人が発した言葉が問題となっていました。「仕事は当分ない」という言い回しからすれば、休業の打診と捉える事も可能と言えるかもしれません。
もっとも、「明日から会社に来なくても良い」という言葉は解雇の意思表示と理解されることも十分あり得ることであり、会社としてこうした雇用関係の切断とも受け取れる曖昧な言葉を使うことは避けるべきといえます。
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」(労働契約法15条)とされていますので、B氏の非違行為の立証を含め、解雇の合理的理由と相当性を満たすためのハードルは高く、本件は会社にとって非常に不利な事案だったといえます。
そうした中、B氏の問題行動や会社が置かれた状況等を粘り強く主張し、裁判所に相当程度会社側の立場を理解いただけたことで、有利な和解へと持ち込むことができました。
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岐阜県出身。中央大学法科大学院卒業。経営者側に立った経営労務に特化し、現在扱う業務のほとんどが労働法分野を中心とした企業に対する法律顧問業務で占められている。分野を経営労務と中小企業法務に絞り、業務を集中特化することで培われたノウハウ・経験知に基づく法務の力で多くの企業の皆様の成長・発展に寄与する。