パワハラを主張する社員との紛争を労働審判によって解決した事例

相談企業のエリア | 愛知県西部 |
相談企業の業種 | サービス業 |
相談企業の従業員規模 | 30名程度 |
相談のジャンル | 問題社員対応、メンタルヘルス、労働審判 |
争点 | ハラスメントの有無、精神障害発症の有無等 |
相談前の状況
A社の社員Bは、A社の幹部Cからの指示を無視したり、他の社員にCの悪口を言ったりするなどの問題行動が続いていました。そうした中、社員Bは幹部Cに向かって「あんたの方こそ仕事ができない」「お金をちょろまかしている」などとCの感情を刺激する発言をしたため、Cはたまらず「バカにして。そういう態度をする人には賞与の支給はないと思いなさい」などと興奮して応対しました。
そうしたところ、社員Bは幹部Cからパワハラを受けて適応障害になったとして休職し、A社に対して慰謝料等の請求をしてきました。A社がこれを拒否したところ、社員Bは復職及び損害賠償を請求して労働審判を申し立てました。
相談後の提案内容・解決方法
当事務所は労働審判が申立てられる前の交渉段階から対応をして参りました。
幹部Cが感情的に厳しい言葉を社員Bに浴びせたということは事実であったとしても、決して継続的で執拗なものではなく、またその発言に至った経緯などを踏まえれば、それが適応障害を発症させるものとはとても考えられませんでした。他方で、会社としては、こうした問題を引き起こす社員Bの復職は好ましいものではなく、根本的な解決を図ることが望ましいといえました。
このため、労働審判においては、直接の争点であるパワハラ及び適応障害発症の有無を徹底して争うとともに、社員Bの非違行為を主張して懲戒処分を予告し、A社と社員Bとの信頼関係が完全に破壊されていることを労働審判委員会に理解していただくようにしました。こうして、若干の解決金の支払いにより合意退職いただく形で解決をすることとなりました。
担当弁護士からの所感
本ケースでは、A社は問題社員Bに翻弄されてしまった面が否定できず、社員Bに煽られた幹部Cが興奮して発言した内容が録音に取られていました。このため、適応障害を発症させたかは別としても、パワハラという点については非常に厳しい心証を労働審判委員会に持たれることとなりました。
もっとも、社員Bのこれまでの態度や非違行為等を踏まえれば、社員BがA社にとって不適格な社員であることは明白であり、社員BのA社での就労継続は労使双方にとって好ましいものではありません。
こうしたことから、労働者を解雇するハードルは高いですが、この機会をとらえて社員Bの退職というA社の望む結果を得る方針で対応し、わずかな解決金をもってA社を悩ましてきた社員の退職という解決を得ることができました。
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岐阜県出身。中央大学法科大学院卒業。経営者側に立った経営労務に特化し、現在扱う業務のほとんどが労働法分野を中心とした企業に対する法律顧問業務で占められている。分野を経営労務と中小企業法務に絞り、業務を集中特化することで培われたノウハウ・経験知に基づく法務の力で多くの企業の皆様の成長・発展に寄与する。