業務上重大なミスをした社員を退職勧奨し退職金を不支給とした事例

相談企業のエリア | 愛知県東部 |
相談企業の業種 | 製造業 |
相談企業の従業員規模 | 800名程度 |
相談のジャンル | 問題社員対応 |
争点 | 懲戒解雇の可否、退職金不支給 |
相談前の状況
A社の経理担当社員Bは、単純な計算ミスにより数千万円にも及ぶ損害を会社に与えました。
調査の結果、当該ミスは本来なすべき手順を省略するなどの重大な過失に基づくことが伺われ、また、社員Bは過去にも複数回の業務指導や懲戒処分を受けていたなど勤務態度に問題が見られたことから、A社は社員Bに対し懲戒解雇を含めた厳格な処分をしたいと考えました。
そのため、社員Bの処分方針及び手続について、当事務所の支援を求められました。
相談後の提案内容・解決方法
問題行為が発覚した際には、当該社員について言い逃れができないよう、あるいは責任を自覚していただけるよう、事実を明確に指摘しその根拠資料を示して問題の責任を問うことが大切です。
このため、本件では入念な準備のもと懲戒手続に入ることとしました。弁明の機会に弁護士も立会うなど、手続が適切に進められるように弁護士主導にて準備と進行をしてまいりました。
そうして本件では、相当な金額が発生する見込みであった社員Bの退職金を不支給とすることなどの退職条件を定めたうえ、社員Bを合意退職させることとなりました。
担当弁護士からの所感
リスクを最小に留めながら最大の結果を目指すことが大切です。
本件では、社内規定を無視した業務遂行によって会社に損害を発生させた点において重大な過失ともいえるべき大きな非が社員Bに認められるものですが、悪意・故意によらない業務上のミスを理由とした解雇ないし懲戒解雇をすることには慎重な判断が必要です。
また、会社が被った損害についての賠償請求については、会社にも管理不行届きがあったなどの点が問題となり得ることや、社員Bの支払能力もないであろうことが現実的な問題といえました。
このため、本件の最良の解決として、社員Bを懲戒手続に付すとともに併せて退職勧奨を行い、相当な金額が発生する見込みであった退職金を不支給とすることなどを盛り込んだ合意退職とすることで、紛争化リスクを回避しながらも、退職金不支給により損害の一部の回復を図ることとなりました。
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岐阜県出身。中央大学法科大学院卒業。経営者側に立った経営労務に特化し、現在扱う業務のほとんどが労働法分野を中心とした企業に対する法律顧問業務で占められている。分野を経営労務と中小企業法務に絞り、業務を集中特化することで培われたノウハウ・経験知に基づく法務の力で多くの企業の皆様の成長・発展に寄与する。