パワハラを理由に欠勤した日の賃金の支払請求を受けた事例
相談企業のエリア | 愛知県東部 |
相談企業の業種 | 運送業 |
相談企業の従業員規模 | 30名程度 |
相談のジャンル | 問題社員対応、団体交渉、メンタルヘルス |
争点 | パワハラの有無、適応障害発症の有無、賃金支払義務の有無 |
相談前の状況
A社の社員Bは、遅刻や無断欠勤をすることが度々あったため、役員CはBに対し「やる気がないならこの会社で働けなくなるぞ。社長からクビだと言われる前に態度を直せ」などと注意・指導しました。そうしたところ、社員Bは、役員Cからパワハラを受けて適応障害になったとして欠勤を続けたうえ、労働組合Dに加入して欠勤した日の賃金の支払を求めて団体交渉を申し入れてきました。
対応に苦慮したA社は、当事務所に対応を依頼されました。
相談後の提案内容・解決方法
労働組合との団体交渉には応じる必要があるものの、理由のない要求は断固として拒絶することが適当です。
役員Cの言葉には厳しいものがあった可能性はありますが、これをもって適応障害を発症するというのは認めがたいものでした。このため、仮に適応障害を発症したといえる場合でも私傷病であって会社に賃金支払義務のないことを主張し、かえってA社から社員Bに対して社会保険料の本人負担分の支払を請求することとしました。
こうして徹底して争ったところ、社員B及び労働組合Dは要求を断念し、社員Bの退職を穏便に行うべく合意退職にて和解をすることとなりました。
担当弁護士からの所感
労働組合からの要求は一方的かつ過激なこともありますが、冷静かつ適切に対応をすれば良い解決を得ることが可能です。逆に労働組合を避けることや、団体交渉を早く終わらせようと焦って対応すると企業にとってより一層不利益な要求等が続く場合もありますので注意が必要です。
また、昨今は労働者側から適応障害などのメンタルヘルスの障害を主張されるケースが多いと感じています。「適応障害」の診断書は容易に出され得るものですが、果たして本当に発症しているのか疑わしいケースは多く、少なくとも因果関係については認めがたいものが散見されます。企業としてはパワハラと疑われるような言動に気を付けるとともに、こうしたメンタルヘルスの問題を提起された場合には、対応を誤らないよう弁護士等に相談のうえ対応をされることをお勧めいたします。
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岐阜県出身。中央大学法科大学院卒業。経営者側に立った経営労務に特化し、現在扱う業務のほとんどが労働法分野を中心とした企業に対する法律顧問業務で占められている。分野を経営労務と中小企業法務に絞り、業務を集中特化することで培われたノウハウ・経験知に基づく法務の力で多くの企業の皆様の成長・発展に寄与する。