労働者派遣期間の制限と適正な運用
虎ノ門法律経済事務所名古屋支店では、法的な視点から就業規則の作成・変更・届け出に関するご提案をするとともに、解雇や未払残業代問題、休職問題など各テーマ別ノウハウに基づいたご支援をさせていただくことも可能です。派遣業の皆さまでお困りの会社様は、是非一度当事務所にご相談ください。
本記事で書かれている内容
派遣期間の制限
労働者派遣においては、常用代替防止・派遣労働への固定化防止の観点から、派遣可能期間についての制限が設けられています。この常用代替防止というのは労働者派遣事業における基本的な考え方で、労働者派遣法25条は「運用上の配慮」として「派遣就業は臨時的かつ一時的なものであることを原則とするとの考え方を考慮」しなければならないことを規定しています。
このような趣旨から、労働者派遣においては①事業所単位の期間制限、②個人単位の期間制限、という二重の期間制限がかけられています。派遣元である派遣会社は、双方の規定に反しないように労働者派遣を行う必要があります。
事業所単位の期間制限
派遣可能期間は3年
派遣先が同一の事業所において労働者派遣を受け入れることができる期間は3年です(労働者派遣法40条の2第2項)。
派遣期間の延長
派遣先の当該事業所の過半数労働組合又は過半数代表者から意見を聴取する手続きを踏むことで、派遣期間を延長することができます(同法40条の2第4項)。延長の上限期間はその都度3年となります。
過半数労働組合等から反対意見が述べられた場合でも期間の延長は可能ですが、延長する理由を過半数労働組合等に期間満了の前日までに説明する必要があります(同法40条の2第5項)。
派遣先による通知
派遣可能期間の制限のない労働者派遣である場合を除き、派遣先は派遣元に対して期間制限の抵触日を通知しなければなりません(同法40条の2第7項)。
個人単位の期間制限
同一派遣労働者・同一組織の制限
派遣元が同一の派遣労働者を派遣先の同一の組織単位に継続して派遣できる期間は3年です(同法35条の3)。ここでいう「組織単位」とは、課やグループなど業務としての類似性や関連性があるものをいいます。
無期雇用派遣労働者は適用除外
上記のような派遣可能期間の制限は、無期雇用派遣労働者には適用されません(同法40条の2第1項第1号)。派遣元で無期雇用されている労働者については、派遣元での雇用が安定していると考えられるからです。
このほか、次の労働者派遣では、派遣可能期間の制限の適用が除外されています。
・60歳以上の者
・事業の開始、転換、縮小または廃止のための業務であって一定期間内に完了することが予定されているもの
・1か月間に行われる日数が通常の労働者の半分以下かつ10日以下の業務
・産前産後休業及び育児休業をする労働者
期間制限に違反した場合の直接雇用義務
派遣可能期間の制限に違反して派遣労働者を受け入れている派遣先は、労働契約申込みのみなし規定(同法40条の6)が適用され、受け入れている派遣労働者が希望すれば当該派遣労働者を直接雇用する義務を負うことになります。
この場合、派遣先と派遣労働者との間の労働契約における労働条件は、当該労働者派遣に係るものと同一のものとなります。
労務管理には専門家の支援を
ここでは、労働者派遣における派遣期間の制限について説明をさせていただきました。
労働規制は複雑なうえに、その理解と運用を誤れば重大なサンクションを受けるなど大きなリスクを企業にもたらします。労務管理については、労働問題に強い弁護士や法律事務所などの労務の専門家の支援を受けながら、制度設計と運用をされることを強くお勧めいたします。真面目に経営をされている経営者の皆様が、法を「知らなかった」、あるいは「軽んじていた」がために、苦しい思いをされることが少しでもなくなるようにと願っています。
当事務所では、予防法務の視点から、企業様に顧問弁護士契約を推奨しております。顧問弁護士には、法務コストを軽減し、経営に専念できる環境を整えるなど、様々なメリットがあります。 詳しくは、【顧問弁護士のメリット】をご覧ください。
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岐阜県出身。中央大学法科大学院卒業。経営者側に立った経営労務に特化し、現在扱う業務のほとんどが労働法分野を中心とした企業に対する法律顧問業務で占められている。分野を経営労務と中小企業法務に絞り、業務を集中特化することで培われたノウハウ・経験知に基づく法務の力で多くの企業の皆様の成長・発展に寄与する。
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