外国人技能実習生の受入手続

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団体監理型技能実習

外国人技能実習生の受入れには、大きく分けると「企業単独型技能実習(技能実習法2条2項)」と「団体監理型技能実習(同法2条4項)」の二つがあります。

企業単独型技能実習

日本企業が海外子会社等の職員を日本に招聘し、技能等の習得のため日本国内の企業で技能実習を実施するというものです。外国人の職員にとっては、いわば転籍や出向のようなものだと捉えることができます。

団体監理型技能実習

営利を目的としない日本の法人(事業協同組合等)が外国人の受入第一次機関となって講習等を行い、日本企業が受入第二次機関として技能実習を実施するというものです。
  
このように技能実習生の受入れ方には二つの方法がありますが、そのほとんどが団体監理型によって行われていることから、ここでは団体監理型を前提に技能実習生の受入れ手続きについて説明します。

技能実習生の受入れ可能人数

実習実施者である企業が受け入れることができる技能実習生については、受入企業の常勤職員数に応じて上限数が定められています。

実習実施者の常勤職員数 第1号(1年間) 第2号(2年間)
301人以上 常勤職員数の1/20 基本人数枠の2倍
201~300人 15人 基本人数枠の2倍
101~200人 10人 基本人数枠の2倍
51~100人 6人 基本人数枠の2倍
41~50人 5人 基本人数枠の2倍
31~40人 4人 基本人数枠の2倍
30人以下 3人 基本人数枠の2倍

また、優良な実習実施者の基準に適合する優良基準適合者として認定されると、第1号において基本人数枠の2倍、第2号において基本人数枠の4倍の受入れが可能となるなど優遇措置を受けることができます。

技能実習生受入れフロー

① 監理団体との契約、受入れ人員選定

② 在留資格取得手続き

③ 実施企業における技能実習生受入れ手続き

④ 入国

⑤ 技能実習の実施
監理団体との契約

技能実習生の受入れは、受入第一次機関である監理団体を選定することから始まります。自社が受け入れたい技能実習生の職種についての実績や指導体制などを考慮して、自社にあった監理団体と契約をします。

受入れ人員選定

・監理団体との職種や人数等について打ち合わせをします。
・監理団体は、受入企業が希望する人材を集めるよう、送出機関に依頼をします。
・送出機関は監理団体からの要請に基づき現地で人材募集を行います。
・送出機関は候補となりうる人材をリストアップします。
・受入企業が現地に出向き、送出機関によりリストアップされた候補者に面接等を行って選別を行います。

在留資格取得手続き

受入企業である技能実習実施企業は、監理団体の支援を受けながら、受入予定外国人材の在留資格取得手続きを行います。
  
実習実施企業は、外国人技能実習機構に技能実習計画認定申請書を提出し、審査を経たうえで同機構から実習計画認定通知書を取得します。この認定通知書に基づいて出入国在留管理庁に在留資格認定証明書申請を行い、証明書の交付を受けると現地の送出機関を通じて技能実習生が査証(ビザ)を取得することができます。

実施企業における社内体制の整備

技能実習生を受け入れるにあたっては、適切な受け入れ体制を整備しておく必要があります。
  
A) 技能実習責任者を各事業所に選任
B) 技能実習指導員を各事業所に選任
C) 生活指導員を各事業所に選任
D) 社会保険等の加入手続き
E) 技能実習生の住居の確保、生活用品の準備
  
技能実習生との間のトラブルを防ぐために、企業は何よりも労働基準法をはじめとした労働関係法令への遵守状況を確認するとともに、運用面や規定面で不明確な点があればその整備を行うことが必要です。特に中小企業では、就業規則や雇用契約書等が不十分なことが多く、日本的「慣行」により雇用ルールが曖昧なまま運用されている例が多くあります。
  
しかしながら、他ならぬ外国人である技能実習生にはそのような日本的雇用慣行は通用しません。雇用条件や服務規程をはじめとした雇用契約上のルールは書面によって明確にしたうえで、それを外国人が理解できるように説明することが大切です。

技能実習実施企業は専門家による継続的な支援体制の整備を

外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護を図るため、「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」(技能実習法)が2016年11月に公布され、同法は2017年11月1日に施行されました。
  
技能実習法に基づく新たな外国人技能実習制度では、優良な技能実習実施企業に対し実習期間の延長や受入れ人数枠の拡大など制度の拡充・推進が図られる一方、不正行為に対しては厳格なペナルティーを課していることに大きな特徴が見られます。
  
技能実習生の受入れを行うにあたっては、新たな技能実習制度の内容や運用方針を十分に理解することが何より重要です。そのうえで、不正行為の予防や問題事由が発生した場合にも迅速かつ的確な対応が取れるよう、労働関係法令、技能実習法等の関係法規に精通した弁護士等の専門家から継続的に助言・指導を受けられる体制を構築しておくことが望ましいといえます。


 

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