使用者のためのマタハラ、育児・介護ハラスメント対応の手引き

虎ノ門法律経済事務所名古屋支店では、企業の経営者側に寄り添って、メンタルヘルス・ハラスメントなど各テーマ別ノウハウに基づいたご支援をさせていただくことが可能です。メンタルヘルス・ハラスメントでお困りの会社様は、ぜひ一度当事務所にご相談ください。

マタハラ、育児・介護ハラスメント防止措置


2016年の男女雇用機会均等法、育児・介護休業法の改正により、事業主は、マタニティハラスメント(マタハラ)及び育児介護ハラスメントの雇用管理上の防止措置を講ずべきことを義務付けられました。企業は、セクハラに対する防止措置とともに、このようなハラスメントへの防止措置を講じることが求められます。

妊娠および出産にまつわるハラスメント

男女雇用機会均等法は、主として妊娠および出産にまつわるマタニティハラスメントに対する防止措置を規定しています。この雇用管理上の措置に関しては、厚生労働大臣による「事業主が職場における妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針」(平28厚労告312号)が定められています。

マタハラの言動としては、①制度等の利用に対する嫌がらせ型②状態に対する嫌がらせ型があります。このマタハラの言動の被害対象は女性労働者です。

【男女雇用機会均等法11条の2】(職場における妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置)

1.事業主は、職場において行われるその雇用する女性労働者に対する、当該女性労働者が妊娠または出産したこと、産前産後の休業(労基法65条1項)を請求しまたは同休業をしたこと、その他妊娠または出産に関する事由であって厚生労働省令で定めるものに関する言動により当該女性労働者の就業環境が害されることのないよう、当該女性労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

2.厚生労働大臣は、前項の規定に基づき事業主が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針を定めるものとする。

出産後の育児に関するハラスメント

育児介護休業法は、出産後の育児にまつわるハラスメントに対する防止措置を規定しています。この措置義務についても指針「子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針」(平21厚労告509号、平28改正)が定められています。

この育児ハラスメントの言動としては、制度等の利用に対する嫌がらせ型のみです。育児ハラスメントの被害対象は、女性・男性双方の労働者です。

【育児介護休業法25条】(職場における育児休業等に関する言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置)

事業主は、職場において行われるその雇用する労働者に対する育児休業、介護休業その他の子の養育又は家族の介護に関する休暇、短時間勤務等の制度又は措置(規則76条)の利用に関する言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

マタハラ言動の類型

① 制度等の利用に対する嫌がらせ型

対象制度等

・妊婦検診などの母性健康管理措置
・坑内業務の就業制限あるいは危険有害業務の就業制限
・産前休業
・軽易な業務への転換
・変形労働時間において、法定労働時間を超える労働制限、休日労働制限、深夜業制限
・育児時間

上司、同僚の言動

・解雇その他の不利益取扱いを示唆
・利用の請求等をしないように言う
・請求を取り下げるように言う
・繰り返しまたは継続的に嫌がらせ等(嫌がらせ的言動、業務に従事させない、もっぱら雑務に従事させること)をする

【具体例】

女性労働者が産前休業の取得を上司に相談したところ、上司から「休みをとるなら辞めてもらう」などと言われた場合、上司が一回でもそのような発言をすればマタハラとなります。

②状態に対する嫌がらせ型

女性社員の状態

・妊娠、出産
・坑内業務、危険業務をしない
・産後休業
・つわり、妊娠悪阻、切迫流産、出産後の回復不全等妊娠、出産に起因して妊産婦に生じる症状
により労務提供ができない、または労働能力が低下

上司、同僚の言動

・解雇その他の不利益取扱いを示唆
・繰り返しまたは継続的に嫌がらせ等(嫌がらせ的言動、業務に従事させない、もっぱら雑務に従事させること)をする

【具体例】

女性労働者に対し、上司・同僚が「妊婦はいつ休むか分からないから仕事は任せられない」と繰り返しまたは継続的に言い、就業に影響がある場合、マタハラに該当します。

育児・介護ハラスメントの類型

① 制度等の利用に対する嫌がらせ型

対象制度等

・育児休業、介護休業
・子の看護休暇、介護休暇
・所定外労働の制限
・時間外労働の制限
・深夜業の制限
・所定労働時間の短縮措置等

上司、同僚の言動

・解雇その他の不利益取扱いを示唆
・利用の請求等をしないように言う
・請求を取り下げるように言う
・繰り返しまたは継続的に嫌がらせ等(嫌がらせ的言動、業務に従事させない、もっぱら雑務に従事させること)をする

マタハラ防止のための雇用管理上の措置

事業主は、マタハラ防止のために、次のような雇用管理上の措置をとる必要があります。

① 事業主の方針明確化およびその周知・啓発
② 相談(苦情含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
③ 事後の迅速かつ適切な対応
④ マタハラの原因や背景となる要因を解消するための措置

これは、セクハラ防止措置の内容とほぼ重なります。詳しい内容は「使用者のためのセクハラ・パワハラ問題対応の手引き②(セクハラ編)」の記事で解説していますので、そちらをご参考ください。

ただし、マタハラ防止措置では、セクハラ防止措置にはないポイントがあります。

イ)職場における妊娠、出産等に関するハラスメントの背景には妊娠、出産等に関する否定的な言動もあるが、当該言動の要因の一つには、妊娠した労働者がつわりなどの体調不良のため労務の提供ができないことや労務能率が低下すること等により、周囲の労働者の業務負担が増大することもあることから、周囲の労働者の業務負担等にも配慮すること

ロ)妊娠等した労働者の側においても、制度の利用ができるという知識を持つことや、周囲との円滑なコミュニケーションを図りながら、自身の体調等に応じて適切に業務を遂行していくという意識を持つこと


 

当事務所では、予防法務の視点から、企業様に顧問弁護士契約を推奨しております。顧問弁護士には、法務コストを軽減し、経営に専念できる環境を整えるなど、様々なメリットがあります。 詳しくは、【顧問弁護士のメリット】をご覧ください。

実際に顧問契約をご締結いただいている企業様の声はこちら【顧問先インタビュー

関連記事はこちら

お知らせの最新記事

労働コラムの最新記事